しばらく検索していなかったら、ずいぶん国産Linuxが増えたようである。
いくつか試してみようと、ランダムに選んだのがYUKKURILinuxというもの。
インストールしてみたら、デザインから使い勝手まで、久々に素敵な国産Linuxに出会えたという感じがした。
毎日使うPCのOSとして、実に気持ちがいいLinuxである。
2022年末に開発が開始された新しい国産Linux
公式ウェブサイトの「組織概要」を見てみると、「YKの歴史」が紹介されている。
歴史というにはとても浅く、開発開始は2022年11月、正式リリースは2023年9月というから、よくこんな短期間でリリースできたものだと思う。会社化してからも、まだ1年あまり(2024年5月現在)。
目標は「楽しすぎる未来を」。
「世の中がもっと楽に、楽しい世界になることを願い、使いやすいシステムをユーザーに提供する」という意味があるそうだ(公式ウェブサイトより引用)。
組織人数は8名、組織構成を見てもいわゆる会社概要とは違う、またディストリビューション名からして、なんだか楽しそうな会社のようだ。
現在リリースされているのは、YUKKURILinuxLiteのみだが、今後GnomeデスクトップのYUKKURILinuxNORMAL(2024年?後期リリース予定)、詳細はまだみることができないがYUKKURILinuxPro(開発中)がある。
公式ウェブサイト自体がすっきりとしたデザインなので、一度みてみたらいかがだろうか。
YUKKURILinuxLiteについて
現在正式リリースされているのは、YUKKURILinuxLite1.0。すでにバージョン1.2へアップデートすることができる。
また、Beta版としてGnomeまたはXfceデスクトップのバージョン1.3が公開予定だ。
YUKKURILinuxLite1.0は、Debian12ベース、デスクトップはXfceとなっている。
システム要件は以下の通り。
最小要件
RAM2GB以上
HDD15GB以上
64ビットに対応したCPU
1366×768以上のディスプレイ
推奨条件
RAM4GB以上
開発当初は32ビットだったようだが、現在は64ビットのみとなっている。「古いパソコンを再利用」というポリシーのようだが、Debianベースなのに32ビット版がないのは少々残念だ。
さっそく、ホームページよりisoファイルをダウンロードしてインストールしてみた(VirtualBox上にて)。ご自身のパソコンにインストールしたい場合は、isoファイルをUSBに書き込んでインストールメディアを作成してからインストールを始める。
詳細は、公式ウェブサイトより「YUKKURILinuxLiteの概要・インストール方法」を参照のこと。
Live画面左上の「Install Yukkuri」アイコンをダブルクリックすると、Linuxを使ったことのある人にはお馴染みの、またLinuxが初めての人にも分かりやすいCalamaresインストーラーが開き、なんなくインストールできる。
以下、順にインストーラーのスクリーンショット。
「全て完了しました」と表示されたら、インストールメディアを取り除いて再起動。
国産だからすぐに使えるYUKKURILinuxLite
再起動後のデスクトップは画像の通り。特に目を引くのが、見やすい大きなメニューだ。同じDebianベースのLinuxMint LMDEと比べると、その違いがよくわかる。
また、YUKKURILinuxLiteの特徴のひとつに挙げられている、アイコンテーマに「Fluent」を採用していることで、メニューがスタイリッシュに仕上げられている。
再起動後の最初の作業として、最新の状態にアップデートしなければならない。だが、これもまた特徴のひとつ、Pacupコマンド(ターミナル)を開き、パスワードを入力するだけで、すぐにアップデートを開始することができる。
アップデート後の再起動後、あちこちを確認してみる。
まずは日本語入力。
デフォルトでMozcがインストールされているので、すぐに日本語入力ができるところは、国産Linuxの良いところ。
ちなみに、オフィスアプリのLibreOfficeのバージョンは、7.4.7.2、最新ではないが安定版というところか。
ブラウザはFireFoxESR、バージョンは115.11.0。
メーラーは入っていないが、ソフトウェアかSynapticパッケージマネージャーからお気に入りのものをインストールできる。
ウイルス対策のClamTKもデフォルトでインストールされているのは有難い。
壁紙もこだわっているようで、海のようなデジタルアートが売りらしい。
興味深いところは、ターミナル(端末)だけで4種類入っていること。特にThai X terminalという、Thaiをサポートするターミナルらしく、英数字の入力ができない。また、Multilingual Terminalという国際化対応端末も入っている。これらは、国産Linuxでいつ使うことがあるのだろうか?
画像ソフトの定番GIMPは入っていないが、近年の流れに沿っているのか、映像編集のKdenliveがデフォルトで入っている。
学校教育に使って欲しいのか、数学教育ソフトのGeoGebraというアプリが入っているのだが、これは筆者には不要かな。
使いたいアプリがあれば、ソフトウェアで探せば事足りるだろう。
今後に期待のYUKKURILinux
今のところ不具合はないが、Liteという割には多少重たい感じがするのは筆者だけだろうか。他の方のレビューを見ると、重くもなく軽くもなく、という感想のようだ。もしかしたら、VirtualBox内で動作しているからかもしれない。
システムの最小要件がRAM2GB以上、推奨は4GB以上という条件は、「古いパソコンを再利用」といってもどれくらい前のパソコンを想定しているのか、また32ビット版は開発しないのかと思ってしまう。おそらく開発者は、みんなお若いのかもしれない。
だが、筆者が使用しているパソコン(10年前に購入)では、問題なく動作する。それ以上前、例えばWindowsXP世代あたりだとどうなのだろうか?
冒頭にも記載の通り、個人的にはメインのOSとして使用しても良いくらい、使ってみたいLinuxだと思う。今後開発・リリースされるYUKKURILinuxNORMAL、YUKKURILinuxProにも期待したい。
コメント
こんにちは、YUKKURILinuxDeveloperTeam開発責任者のYUKKURIPCです。この度は、ご紹介いただきありがとうございます。
>開発当初は32ビットだったようだが、現在は64ビットのみとなっている。
そうですね、開発当初は32ビットのみでしたが、途中で64ビットへ変更しています。実際は両方リリースしたかったのですが、更新が大変なのと、容量的な問題で64ビットのみの正式リリースとなりました。
>特にThai X terminalという、Thaiをサポートするターミナルらしく、英数字の入力ができない。また、Multilingual Terminalという国際化対応端末も入っている。これらは、国産 Linuxでいつ使うことがあるのだろうか?
これについてですが、ターミナルが4種類入ってる理由は、Debianの名残です。ただ消さずにそのまま搭載しているといった形です。
>おそらく開発者は、みんなお若いのかもしれない。
全員10代か20代前半あたりです。家に一応XPの機種はあるのですが、USBブートに対応していなかったり、色々あってXP機では試せてないです。
>今後開発・リリースされるYUKKURI Linux NORMAL、YUKKURI Linux Proにも期待したい。
ありがとうございます。YUKKURI Linux NORMALについては、あとビルドするだけのところまで来ています。ぜひまたブログで紹介していただければ幸いです。
今後ともYUKKURILinuxDeveloperTeamをよろしくお願いいたします。
YUKKURIPCさん、
コメント有難うございます。
開発者の方からコメントをいただけるとは思っていませんでした。
とても使いやすそうなLinuxディストロですので、今後も応援します。