「ギターが弾けるからウクレレも弾ける」は、大きな間違い。
ボディが小さく、フレットの幅も狭いので、より繊細に演奏することが必要となる。
初心者がウクレレソロに取り組んでみたら、ギターとは違うことに改めて直面した。
例えば、弾いているうちに、開放弦でも音がビビったり濁ったような音になること。
まずは、この原因を考えてみた。
症状の詳細
前回記事で紹介した、Corey Fujimotoアレンジの「HI’ILAWE」を、タブ譜を見ながら練習を始めた。クラシック、フラメンコギターのレッスンでは、五線譜のみ。タブ譜など使ったこともないが、始めてみると便利な楽譜だ。
弾きはじめは何も感じないのに、途中から音がビビる、というか濁る感じになってくる。エレキギターでいえば、ディストーションサウンドのような感じの音だ。
弦の押さえ方が悪いのかとも思うが、開放弦でもこの症状が起こる。
しかし、ボディトップのブリッジの下部分を、持っている右腕で押さえてみると、このブレが止まる。
どこか壊れているのだろうか?
アコースティックな楽器は、どこか接着部分が剥がれかけていると、そこで音がブレてこのような症状が起きることがある。
なにしろ、このウクレレ、20数年前パートナーにプレゼントとしていただいたまま、ほとんど弾かずにケースにしまったままだったもの。自分が気づかないところで、不具合があるかもしれない。
ウクレレの細部を総点検
ネットで調べてみると、音がビビる原因の多くは、
- 弦の太さとナットの溝が合っていない
- サドルと弦の当たり方
- 弦の押さえ方
- ネックの反り
- ボディの接着部分(ブレーシングやペグなど)に緩みがある
というのが多いようだ。3については、上述の通り開放弦でも起こるので除外。
そこで、自身のウクレレを総点検してみた。
上記1と2については、写真に撮って確認した。最近、アクイーラのナイルガット弦に取り替えたばかりなので、弦とウクレレの相性もあるかもしれないと思い、撮影しておいたもの。
目視では、ナット・サドル共に、弦とのあたり方は問題ないようだ。
また、ネックの反りはなく、サウンドホールから内部を調べてみても、ブレーシング(力木)の接着やペグの緩みなどにも問題はなかった。もちろん、そんなことがあればリペアに出すしかない。
原因はウクレレの持ち方
冒頭でも触れたように、「ボディトップのブリッジの下部分を持っている右腕で押さえてみると、このブレが止まる」ということは、もしかしたら、ウクレレの持ち方、というか演奏時の構えによるものかも知れない。
ハワイ伝統のピッキングソロを広めている高橋 重人氏によると、小さな楽器だけに、ウクレレの持ち方は重要なことのようだ。
氏のウェブサイトに書かれている通り、
- 右手の人差し指と親指でウクレレのボディとネックの接続部分を持ち、右腕の延長にネックがあるように持ち、
- 左手人差し指の付け根あたりにヘッドとネックの境目(ナットあたり)を軽く乗せ、
- 右腕脇とお腹でウクレレを挟むようにする
- ネックは真横ではなく、ヘッドが顔の近くにくるよう斜めに構える
が、正しい持ち方。
この持ち方にすると、両手に余計な力が入らず、例のビビり音が出なくなった。ストラムでも問題ない。
ウクレレは小さな楽器。だから、余計な力で弾いたりすることなく、自然な持ち方で出る音が本来のウクレレの音となる。
ギターの感覚(特にフラメンコギター)で、ウクレレに接してはいけないということなのかも知れない。
自分の楽器を知ることの大切さ
どの楽器も、購入した時から何らかのクセはあるので、持ち方・弾き方でベストな音が出せるかどうかは、所有者にしかわからない。
また、言葉は悪いが、ギターと比べるとウクレレはどこかチャチだ。ギターのつくりはやはり精巧で、だから持ち方で音が変わることなどない。
また、国産と外国産でもつくりが違う。
筆者所有の国産クラシックギター(10万円程度、初心者用)とスペイン産フラメンコギター(40万弱)では、国産の初心者用ギターの方がつくりがしっかりしている。フラメンコギターの方は、購入当初からボデイトップとネックの接合部分や、ヘッドの糸巻き周りが雑な感じだった。
ウクレレもそうかどうかは、残念ながら現在の1本しか持っていないのでわからないが、国産・外国産や値段とも関係なく、1本1本違う個体であるということなのかも知れない。
何にせよ、これで練習再開だ。
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