毎日向かうデスクトップはパソコンの顔、見た目は大事だ。
だから、人はみな、お気に入りの画像をデスクトップの壁紙において楽しんでいる。
壁紙だけではない。
メニューバー、パネル、ドックの配置やデザインも、作業の効率に大きく関わっている。
一般的には、Macのデスクトップデザインは美しいと思われているが、実はLinuxディストリビューションこそ、デザイン面において美しいデスクトップがたくさんある。
今まで多数のLinuxディストリビューションを試してきた筆者が、美しいLinuxを独自に選んでみた。
選出基準
Linuxのデスクトップは、デスクトップ環境によるものが多い。そのことは、前回記事にて一部紹介した。Linux開発者の多くは、すでに開発されたデスクトップ環境を自身のディストリビューションに取り入れている。
もちろん、Solusのように、デスクトップ環境から独自に開発しているディストリビューションもある。
また、Linuxの良さは、どれも自由にカスタマイズできることだ。パネルやドックの位置、アイコンのデザインなどは、簡単に自分好みに変えることができる。
なので、今回筆者が「美しい」と思うLinuxの選出基準は、以下の通りとしてみた。
- デフォルトの壁紙
- デフォルトで設定されたメニューバー、パネルまたはドックの配置とデザイン
- シンプリシティ
個人的には、デスクトップがごちゃごちゃしているものは、あまり好まない。毎日向き合う画面だから、できるだけスッキリした配置と壁紙が必要だ。デスクトップによく使うファイルやフォルダを乱雑に置いておくなど、考えられない。
解像度を駆使したデザインも大事だ。マットなものではなく、Opacity(不透明度)を取り入れたものや、ウインドウのメニューバーのデザインも、選出の基準に含まれる。
海外の個人サイトも参考にしてみた。以下は、ほぼ筆者と同じ目線で「美しい」Linuxを選出している。しかし、これらは日本で開発されたディストリビューションは含まれていないので、ここでは日本製ディストリビューションも選考候補としてみた。
Garuda Linux
美しいデスクトップ、カラフルなファイルマネージャや端末。Arch系のGaruda Linuxは、文句なしに美しい。
デスクトップ環境はKDE Plasmaだが、他のKDEデスクトップとも違う、鮮やかな色使いはGaruda Linuxならではだ。
個人的にKDEデスクトップが好みということもあり、今まで試してみた中で最も美しいと感じるディストリビューションと言える。
Bluestar Linux
Garuda Linux同様、KDE Plasmaを取り入れたArch系のBluestar Linuxも、美しさでは抜きん出ている。
トップのメニューバーは全面ではなく部分的、そこからOpacityを意識した半透明のメニューがプルダウンされる。
また、KDE Plasmaデスクトップは、よりアニメーションを取り入れており、動的なデスクトップを楽しむことができる。
Alter Linux
海外のサイトでは決して紹介されない、日本の若い開発者によるArch系のAlter Linux。
彼らの公式サイトからして、使ってみたくなるクールなディストリビューションだ。
LMDEは軽量で使い勝手が良いが、正式リリース時に追加された、KDE Plasmaも目が離せない。
Kona Linux
Arch系、KDE Plasmaデスクトップが続いたので、日本開発のディストリビューションをもう一つ。
国内では圧倒的な人気のKona Linuxは、スタイリッシュな壁紙の豊富さに圧倒される。
コンセプトのコーヒー画像や、物憂げにコーヒーカップを持つ女性、あるいはアニメの画像など、選びたい放題だ。
Mac風のドックは良いのだが、残念ながらファイルマネージャのデザインは筆者好みではない。
elemantary OS
限りなくMacに寄せたディストリビューションといえば、elemantary OSだろう。
ソフトウェアセンターをAppCenterというところなど、完全にMacを意識している。画面下のドックもほぼMacで、Macユーザーにも馴染みやすい。
ベースはUbuntuなので、ユーザーエクスぺリンスが高いのも人気の理由かもしれない。
VOYAGER
WindowsよりもMacユーザーが圧倒的に多いフランスで開発された、軽量ディストロのVOYAGER。elemantary OS同様、Macを意識したデスクトップだ。
しかし、ベースがUbuntuということもあり、デフォルトの壁紙がなんとなくUbuntuカラーなのは、少々残念か。
Kona Linux同様、豊富な壁紙を用意していて、その日の気分で変えていっても良いかもしれない。
Zorin OS
こちらは、Windows風なデスクトップで人気のZorin OS。しかしながら、Windowsよりもシンプルでスッキリしている。
他にはみられない「Zorin Appearance」は、好みのデスクトップに簡単にカスタマイズできるアプリ。これにより、Windows風でありながら、より進化したデスクトップ環境を簡単に構築できる。
Solus
GNOMEの技術をもとに、独自のデスクトップ「Budgie」を開発して取り入れたのが、Solus。今では、さまざまなディストリビューションに取り入れられるほどのデスクトップ環境だ。
そのコンセプトは、シンプルさ、ミニマリズムさ、そして優雅さ。まさに美しいLinuxの要素を持ち合わせたディストリビューションと言えそうだ。
Bodhi Linux
サンスクリット語の「菩薩」を意味するBodhi Linuxは、アジアンテイストなディストリビューション。
全体的にグリーンを基調とした、デスクトップに採用されたMokshaは「解脱」を意味し、このディストリビューションの思想は、最小限の基本的な環境を提供するというもの。スタイリッシュでありながら、最小限に留めたデザインは、軽量で使い心地が良い。
どこもこのディストリビューションを選出してはいないが、軽量・高速でありながら、このデザイン性は今回の選出に十分値すると思う。
MX Linux
最後は、DistroWatchで常に人気No.1を誇る、MX Linux。
しかし、人気には必ず理由がある。
- 「Midweight Simple Stable Desktop OS(ミッドウェイトでシンプルな安定したデスクトップOS)」で、普段使いにも十分なOSであること
- 選べるデスクトップは、KDEではなくとも十分デザイン性に優れていること
など。いまだに32ビット版を用意しているのも、ありがたい。
番外①:Xero Linux
Xero Linuxは、レバノンで開発されたArch系ディストリビューション。日本ではあまり知られていないが、海外のサイトでは美しいデスクトップとして評価されている(冒頭画像)。ゲームPCなどを意識した作りは、見た目にも美しい。
個人的に、Arch Linux+KDE Plasmaが好みのようだ。
まだインストールしたてで詳細をチェックしていないので、このディストロについては後日改めてご報告しよう。
番外②:Deepin
Deepinも、海外のサイトでは美しいLinuxとして評価が高い。
中国で開発されたディストロで、アジア言語には馴染みがあるため、日本でも使いやすいだろう。
デスクトップは、独自のDeepinデスクトップらしいが、アニメーションを取り入れたGNOMEデスクトップとも言えそうだ。
こちらも、後日改めてご報告するつもりだ。
甲乙つけ難いそれぞれのデスクトップ
今回選出した各ディストリビューションは、ランダムに並べただけで、順位ではない。
それぞれ特徴があり、またユーザーエクスペリエンスに優れていて、甲乙つけ難い。
この記事を参考に、毎日向き合うデスクトップとして、好みのLinuxを見つけてもらえたら幸いだ。
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