日本の学生チームが開発した、日本のためのLinuxディストリビューション、Alter Linuxが正式にリリースされた。
というか、日本発のディストリビューションとして既に定着した感があったため、今まで正式リリースではなかったことを知らなかった。
今回、正式リリース版に新たに加わったKDE Plasma版を試すため、クリーンインストールを試みたところ、筆者の試したディストリビューションの中では最強かと思うほどの使いやすさだった。
日本で開発されたAlter Linux
筆者は、既に2度ほどAlter Linuxを試している。過去試したバージョンそれぞれのレビューは、以下記事で紹介している。
少なからず、Alter Linuxには以下の点で好感を持っていた。
- シンプリシティ・ミニマリズム・エレガンスのArch Linuxのコンセプトそのままに、使いやすさを追求
- 公式サイトがクール
- SNSでのサポート・レスポンスが早く、もちろん日本語で問い合わせ可能
- 軽量、ローリングリリース
今までがテスト版で、今回が正式なリリースとあれば、もう一度試してみたいと思うのは自然なことだった。
今回、テスト版からあった以下エディションに加え、初期段階から開発が進んでいたKDE Plasma版が加わった。
- Cinnamon
- LXDE
- Xfce
- i3WM
FedoraやGaruda LinuxなどのさまざまなPlasma版を試し、その使いやすさは実感していたので、Alter LinuxでのPlasma版を試したくなったということだ。
Alter Linux Plasmaをインストール
正式リリースにあたり、バージョン表記が、今までの四半期+バージョン名からビルドした日付へと変更されている。今回インストールしたAlter Linux Plasmaのバージョンは、”20210718″だ。
isoファイルのダウンロード後、早速インストールを開始する。インストールについては、上述の関連記事にて紹介しているので省略。特に難しい点はない。
そして、インストール時で、早くもこのディストリビューションの実力を実感した。
なにしろ、インストールがとても早いのだ。
ディストリビューションによっては、インストール途中でソフトウェアのダウンロードにかなり時間がかかるものもあるが、正式版のAlter Linuxは短時間で終了する。
ざっくり派の筆者にはよくわからないが、こういった点も開発のポイントになっているのだろうか?
程なくしてインストールが終了し、再起動。
Alter Linux Plasmaのレビュー
もともと、「完全な日本語化」が行われているというAlter Linuxなので、インストール後の日本語表記や日本語入力の設定は必要ない。
と思ったのだが、KDEシステム設定の「地域の設定」→「Language」を確認すると、デフォルトは「American English」になっていた。
そこで、日本語を追加し、デフォルトに設定。
ここを設定しなくても、メニューなどは日本語で表示されているので問題なさそうだが、念のため。
入力メソッドは、デフォルトでFcitx-mozcになっているので、すぐに日本語入力ができる。
正式リリース版の良い点
過去に試したAlter Linuxは、完璧とまでは言えなかったが、正式リリース版のPlasma版は快適に使うことができ、メインPCのOSとしても使えると感じた。
第一に、ネットワークが高速であること。インストール時同様、ソフトウェアのダウンロードは非常に高速だ。OSでネットワークの高速さを実感できるのは有り難い。
次に、他のKDE Plasmaは動作が重たいものが多かったが、Alter Linuxでは全てが軽快に動作する。やはり、Arch Linuxの良さを引き継いでいるからだろうか?あるいは、Zenカーネルゆえか?
正式リリース版の気になる点
良い点ばかりではない。
以下、いずれも大したことではないが、筆者が気になったことを挙げてみる。
- インストール前のライブ画面では、スクリーンショットのアプリがない
- 一部のアプリは、Flathub経由でしかインストールできない(主に開発系アプリ)
2.については、Visual Studio Codeを「ソフトウェアの追加と削除」にてインストールを試みたが失敗。そこで、Flathubよりダウンロードしたファイルを、改めて「ソフトウェアの追加と削除」にてインストールしたところ、問題なくインストールできた。
グラフィックの定番、GIMPも同様だったため、Flathub経由にてインストールした。
Linuxをよく知っている人なら、この問題は解決できるのだろう。
Alter Linux Plasmaのまとめ
普段、FedoraをLinuxのメインとして利用している筆者にとって、新たなメインディストリビューションになりそうなくらい、高速で軽快なAlter Linuxは使いやすいと感じた。
その他のエディションはまだ試していないが、もともと軽量なXfce版などは、もっとこのディストリビューションの軽快さを実感できることだろう。
筆者の実験用PC、Thinkpad X240のハードとの相性も良い感じだ。
Linux界隈では、サーバーとしての定番、CentOSの後継をめぐり賑やかだが、普段使いのLinuxとしては、筆者が知る限り最強のディストリビューションかも知れない。
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