最近、Mageiaをはじめ、フランス発のLinuxディストリビューションが、何かと目にとまる。
今回は、軽量でありながら、Mac風デスクトップ環境のVOYAGERをテストしてみた。
それは、
「ノートパソコンに入れて、家のリビングでくつろぎながら使いたい」
といった感じのディストリビューションだ。
VOYAGERについて
VOYAERは、Xubuntuをベースとした、Xfceデスクトップのディストリビューション。これ以外にも、GnomeシェルのGE、ゲームをフィーチャーしたGS、Debianベースなど、さまざまなフレーバーを用意している。
メインのXfceは、画面下にドックを揃えるPlankにより、Mac風なデスクトップの仕上がりになっている。そのシステム要件は、以下の通り。
- CPU:2GHzデュアルコアプロセッサ以上
- RAM:2GB以上
- ディスク容量:25GB以上の空きがあるHDD
主に、マルチプロファイルとマルチタスキングに特化し、快適に使うことができるとしている。
ベースはUbuntu 20.04.2 LTS、サポートは2023年4月まで。Debianベース(10.1 Buster)も、同じXfceデスクトップ・システム要件なので、サポート体制により選んでも良い。
さらに嬉しいことには、Debianベースには32-bit版が用意されているということ。これなら、デバイスの力量にあわせたVOYAGERを使うことができる。
多彩な壁紙を用意
フランス発のディストリビューションらしく、デザインには凝っているようだ。
例えば、壁紙。
他のディストリビューションよりは、明らかに豊富な壁紙を用意している。中には、アニメ好きのフランスらしく、以下のようなアニメの壁紙もある。
これなら、その日の気分で選び放題だ。
VOYAGER 20.04.2 LTSをインストール
インストールイメージは、VOYAGER公式サイトからダウンロードし、Balena EtcherなどでUSBに焼き付ける。いつもの方法だ。
USBからの起動後画面は、以下の通り。
以下、インストーラのスクリーンショットを貼っておく。特にややこしい点はない。
インストール後の初期設定
さすがはUbuntu系とあって、インストール後の初期設定は、なんの苦労もない。
最初は、自動的に「不完全な言語サポート」ウィンドウが立ち上がるので、指示のままインストールを行う。
その後、ソフトウェアの更新が始まる。初期設定と言えるものは、これだけだ。
最初から、日本語環境、日本語入力設定がなされているので、すぐに使い始めることができる。
デスクトップに用意されたパネル
デスクトップには、左右にアイコン群のパネルが用意され、画面下にはPlankによるドックがあるので、したいことをすぐに始められる使いやすさだ。
左側のパネルには、
- 飛行機アイコンのWi-FiのON/OFF
- タッチパッドとマウスの設定
- 画面切り替え
- ブラウザのプライベートモード
- VOYAGERサーチ
- Safeモード(?、まだ使い方がわからない)
- NetのON/OFF
があり、それぞれワンタッチで操作できるようになっている。
一方、右側のパネルには、
- Voyager Box:壁紙やテーマ、タスクマネージャなどの設定を行うツール
- Voyager Info:システム・インフォメーション(端末で表示される)
- 天気予報
- カレンダー
- KODI(後述)
- 画面切り替え
アイコンが用意されている。
ソフトウェアもユニーク
デフォルトの主なソフトウェアは、以下の通り(2021年6月現在)。
- ブラウザ:FireFox 89.0
- メール:Thunderbird 78.8.1
- オフィス系ソフト:LibreOffice 6.4.7.2(Baseは別途要インストール)
- グラフィック:GIMP 2.10.18
定番のものが多く、最初からThunderbirdが入っているのが嬉しい。LibreOfficeやGIMPのバージョンは若干古いものの、使えないレベルではない。
また、他のディストリビューションとは違い、フランスらしいというか、珍しいソフトウェアもプリ・インストールされている。
メディアプレーヤーは、定番のVLCメディアプレーヤーの他に、KODIというシアターアプリがプリ・インストールされていて、デスクトップ右側のパネルの「K」アイコンからすぐに起動できる。
ドックには、SMTubeという、YouTubeアプリが配置されている。
VOYAGERのまとめ
VOYAGERは、一言で言うと「文句なし」のディストリビューション。
ライトで軽快、すぐに日本語で使い始めることができ、デザインも洗練されている。
「仕事使い」というよりは、遊び心にあふれているディストリビューションと言える。
Debianベースには32-bit版が用意されていることも、導入のしやすさが窺える。
Linux初心者から上級者まで、あるいはゲーム用PCにも、VOYAGERはおすすめだ。
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