ヨーロッパの風景は、いつ訪れても変わることなく、旅人を迎えてくれる。スクラップ&ビルドの日本では、なかなかそんな風景に出会えない。
だから、撮りためてきた風景画像をモノクロームにしてみたら、なんの変哲もない写真が、まるでアート作品のようになった。
前回の記事とあわせて、ご覧頂きたい。
悪天候のほうがモノクロで映える
前回書いたように、陰影がはっきりしたものや逆光、形がはっきりした対象物はモノクロ写真に適しているようだ。
なので、撮影者本人としては失敗作の画像を、あえてモノクロ画像に変換してみた。
霧の中の風景
最初は、フランス、ブルゴーニュのスミュール=アン=オーソワ。一日の気温差が大きな時は、朝方、町が霧に包まれる。そんな一枚。
次もブルゴーニュ、ヴェズレーでの一枚だ。
世界遺産の教会は選ばず、あえて宿泊したホテル、Hotel de la Poste et du Lion d’Orを撮影した。こちらもモノクロにすると、朝靄に包まれた雰囲気が、まるで一世紀くらい時を遡ったようになる。
お蔵入りの逆光画像
次は、逆光でお蔵入りだった画像から。
イタリア、トスカーナのマッサ・マリッティマでの一枚。ここに3泊して出発の日の朝早く、教会を撮ったもの。朝早すぎたため、完全な逆光になっているのだが、モノクロにすると意外と良かったりする。
次は、曇天での一枚。イタリア、ウンブリアのウルビーノにて。
町の中心から、ラッファエッロの生家を通り過ぎ、急な坂道を登りきったところで、振り返って撮った一枚。
オリジナル画像は、あまりに暗すぎて使い物にならないが、モノクロにすると、なんだか一服の絵のようになるから不思議だ。
お気に入りの場所もモノクロームで
何度か訪れたところで、「お気に入り」の町もある。また、仕事で訪れたときと違い、プライベートで訪れたときの印象は違ったりする。
そんな画像を集めてみた。
イタリア、シチリア島のラグーザは、いつ訪れても変わらないその姿を見せてくれる。ラグーザ・スペリオーレ(新市街)とラグーザ・イブラ(旧市街)を結ぶのが、レ・スカレというつづら折りの階段。
その上に立って、イブラを撮った一枚だ。訪れたときは、とても良い天気だった。
次は、イタリア、アブルッツォのヴァスト。町のシンボル、大聖堂を撮った一枚。
鐘楼の先端がとても特徴的で、他では見たことがない、飾り細工の屋根になっている。
「Three Monks at Flavigny」
最後は、あえてタイトルをつけて紹介する。
フランス、ブルゴーニュのフラヴィニー=シュル=オズランでの一枚だ。
ここへは2度訪れているが、いつも天候が不安定で、まるで魔法にかけられているかのような錯覚に陥る。さっきまで雨が降っていたかと思うと、急に雲の切れ間から日差しが差し込む。
そんなときに、人っ子一人いなかったはずなのに、3人の修道士が教会に向かって歩いているのを見かけた。
ただそれだけの写真なのだが、モノクロにすると、なんだかユトリロの絵のようにもなる(自画自賛)。
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