パソコンのOSは、毎日使うものだから「使いやすい」ことが絶対条件だ。だからWindowsは世界のシェアの大半を占めた。そして、美しければなお良い。
次々と新しいLinuxディストリビューションがリリースされる中、今回は使いやすさのWindowsにひけを取らず、美しさのMacにも匹敵するNetrunnerを試してみる。
Netrunnerとは
DistroWatchで、ビギナー向けに限定して検索するとトップ10に入るNetrunnerは、Linux先進国ドイツ生まれのディストリビューション。Debian Stableをベースとし、KDEプラズマ5のデスクトップ環境を備え、美しいデスクトップとDebian/Unix系の使いやすさを併せ持つ。
前回紹介した、KDEプラズマデスクトップのFeren OS同様、ディストリビューションとしては比較的新しく、2016年に初めてNetrunner 16.09 Avalonがリリースされた。最新バージョンは21.01、コードネームは XOXO、「hugs and kisses」の意味。
様々なアプリケーションがプリ・インストールされ、かつ最初から日本語を始めとした言語設定が簡単なことから、初心者向けとされているのだろう。Feren OSよりも使いやすいKDEプラズマデスクトップも、その一因を担うものかもしれない。
ざっくり派としては、デスクトップがどうだとか、コードネームがどうだとかはさほど関係はなく、どれだけ設定が簡単で使いやすいかが大事だ。その点では、このNetrunnuerは及第点だと言えよう。
最近、古い32-bit版のPCに使えるディストリビューションが注目されているが、現在のパソコン市場ではほぼ64-bitが当たり前の中で、どれだけ最新のデジタル事情に対応できるかという点も重要なことだと思う。
Netrunner 21.01 XOXOをインストール
さっそく、最新バージョンのNetrunner 21.01 XOXOをインストールしてみる。インストールファイルは、公式サイトからダウンロード可能だ。
最低システム要件は以下のとおり。
- CPU:1.6-GHz Intel Atom以上
- RAM:1GB以上
- ディスク:15GB以上
- グラフィック:Intel GMA 945以上
個人的には、KDEプラズマは重たいので、RAMは2GB 以上あったほうが良いと感じる。
インストールはとっても簡単なので、例によってインストーラを順に貼り付けておく。
インストール後の設定
左下のアイコンから開いた、アプリケーション画面は上記のとおり。Gnomeのアプリケーション画面とも違う、独特の画面だ。
日本語設定
インストール後から基本的に日本語表示されているが、完全表示にするためKDEシステム設定を開く。
「アカウント詳細」–>「言語」を開き、右下の「Add Lanugages」を開いて日本語を選ぶ。
残念ながら、日本語入力はプリ・インストールされていないので、fcitx-mozcを端末(Konsole)からインストールする。以下のとおり打ち込めばOKだ。
sudo apt install fcitx-mozc
これで再ログイン後に完全な日本語表示、日本語入力が可能となる。
リポジトリの変更
各ソフトウェアのインストール前に、Synapticパッケージマネージャからリポジトリを日本のアドレスに変更しておく。
これで常に日本のサイトからダウンロードが可能になる。
アプリの追加
プリ・インストールされているアプリの主なものは、以下のとおり(2021年3月現在)。
- ブラウザ:Firefox 78.8.0 ESR
- オフィスソフト:Libreoffice 6.1.5
- メーラー:Thunderbird 78.8.0
- グラフィック:GIMP 2.10.8、Krita 4.1.7.101、Inkscape 0.92
全般的にアプリのバージョンが古いのは否めないが、すぐに使える点では何ら問題ない。
Gnomeのパッケージマネージャ、Synapticがプリ・インストールされているので、気になる方は古いバージョンを削除して再インストールしてもよいだろう。
新しいアプリのインストールは「Discover」(以下画像)を使うのだが、個人的にはGnomeソフトウェアが使いやすいので、Synapticからインストールした。
まとめ
Netrunnerは、プリ・インストールされているアプリが多少古いことを除けば、始めから日本語表示でわかりやすく、使いやすい。
アプリケーション画面も美しくわかりやすいので、初心者にも違和感なく使い始めることができる。
難を言えば、やはりKDEプラズマの重たさだろう。
スペックが低いPCでは、どうしても動作が遅くなると思う。最低システム要件プラスアルファぐらいのスペック向きと考えておいたほうが良いかもしれない。
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