Linuxは、各ディストリビューションが採用しているパッケージ管理システムによってアプリまたはソフトウェアのインストール方法が違うので、戸惑う方も多いだろう。そこで、Linuxの基本の「き」、アプリまたはソフトウェアのインストール方法について、改めてまとめてみた。
UbuntuやDebianをベースにしたLinux Mintでのアプリインストール方法について書いた、以下過去記事も参考にしてみてほしい。
なお、ここではアプリまたはソフトウェアについて、以下「アプリ」で統一しておく。
Debian/Unix、Ubuntu系 – deb(apt)形式
日本におけるLinuxディストリビューションのシェアは、ダントツでUbuntu(約40%)なので、多くの人はdeb(apt)形式について理解していれば良いだろう。端末での基本操作は、
sudo apt install パッケージ名
だ。しかし、ざっくり派やLinux初心者は端末での操作には抵抗があるはず。なるべくグラフィカルでアプリをインストールしたいというときには、最初に以下を検討しよう。
GNOME Softwareでインストール
まずはご自身がお使いのディストリビューションにGNOME Softwareが入っているかどうか、確認してみよう。Ubuntuなら「Ubuntuソフトウェアセンター」、Linux Mintなら「ソフトウェアの管理(ソフトウェアマネージャ、冒頭画像)」という名前になっている、以下のようなものだ。
トップ画面でアプリの系列ごとに探しやすくなっているので、画像管理アプリなら「グラフィックス」を、プラウザアプリなら「インターネット」タブをクリックすれば、いくつものアプリが出てくるので、希望するアプリを選んだ次の画面で「インストール」を押すだけ、とても簡単だ。
deb(apt)形式のディストリビューションで、このGNOME Softwareが入っていないことはあまり考えられないが、ない場合は次の方法を検討しよう。
Synapticパッケージマネージャ
SynapticパッケージマネージャはDebianのパッケージ管理システムaptのGUI版だ。これもGNOME Software同様、Debian/Unix、Ubuntu系ならほとんどプリ・インストールされている。
そして、ここから最初にGNOME Softwareをインストールしてから、色々なアプリをGNOME Softwareでインストールすれば良い。
Debianでは、GNOME Softwareはプリ・インストールされていなかったので、Synapticパッケージマネージャからインストールしてみる。
右側の「検索」をクリックし、「gnome-software」と入力する。スペースではなく、ハイフンで単語をつなぐこと。
出てきた一覧のうち、「gnome-software」にチェックを入れる。すると、何やらいろいろ追加が必要らしいので、そのまま「マーク」。それ以外も、「gnome-software」で検索したもの全部にチェックを入れておいて、「適用」をクリック。
「以下の変更を適用しますか?」と出たら、「Apply」でインストールが開始される。
Synapticパッケージマネージャでは、日本語環境などを整えることもできる。DebianではThunderbirdが英語表記だったので、Synapticパッケージマネージャから「Thunderbird」と検索し、日本語パックの「lightning-l10n-ja」をインストールすれば、日本語環境を整えることができる。ファイル名を探すのが大変かもしれないが、japaneseの表記があるファイルを選べば良い。その他のアプリも日本語表記出ない場合は、この方法で日本語環境を整えよう。
アプリサイトからダウンロード&インストール
GNOME SoftwareやSynapticパッケージマネージャからインストールできないものは、アプリの公式サイトからインストールファイルをダウンロードしてインストールする。ここでは、Google Chromeをインストールしてみることにする。
プリ・インストールされているブラウザ(ここではFireFox)でGoogle Chromeのダウンロードサイトへ。
最近は、どのサイトでも以下の通りdebかrpmを選択できるようになっているので、「64ビット.deb」を選択し、「同意してインストール」。いったん、ファイルを保存しておこう。
ファイルマネージャの「ダウンロード」に保存されたファイルを右クリックし、「別のアプリで開く」を選び、「ソフトウェアのインストール」を選ぶ。
この「ソフトウェアのインストール」で開くのが、GNOME Softwareだ。あとは開いた画面で「インストール」を選べば、インストールが完了する。
以上3つの方法で、ほとんどのアプリのインストールが可能だ。
Red Hat及びSUSE系 – rpm(yum or dnf)形式
ubuntuに次いで日本でのシェアが多いのが、CentOSあるいはFedoraといったRed Hat系だ。
CentOSはサーバーとして利用している人が多いのかもしれず、デスクトップのシェアがどれくらいかわからないが、ネットでググると非常に多くの記事があることもあり、多いことは間違い無いだろう。
端末での基本操作は、
sudo yum (or dnf) install パッケージ名
だ。
rpm形式も、GNOME Software、Synapticパッケージマネージャを使うことができるので、アプリのインストール方法はdeb形式と全く変わらない。アプリの公式サイトからインストールファイルをダウンロードする場合も、ファイル形式の「rpm」を選択するだけだ。
Arch系 – pacman形式
Debian/Unix、Ubuntu系、Red Hat及びSUSE系と比べてやや難解なのが、Arch系だ。端末での基本操作は、
sudo pacman -S パッケージ名
と、deb、rem形式とはまるで違う。installという単語自体ないことも、初心者にはちょっと難解なディストリビューションだ。
しかし、最近ではManjaroや日本の学生が開発したAlterLinuxのように、端末を使う必要も少なく、よりグラフィカルでわかりやすく使えるよう開発されたディストリビューションも増えている。
ここでは、日本人のために開発された、最初から日本語表記で人気が高い、AlterLinuxのアプリインストール方法についてまとめてみることにする。
pamacからインストール
pamacは、Arch Linux独自のGUI版パッケージマネージャだ。その様子は、GNOME Softwareというよりは、どちらかというとSynapticパッケージマネージャに近い。
例えばThunderbirdをインストールするときは、検索アイコンをクリックして、アプリ名を入力する。
一番上に見慣れたThunderbirdのアイコンと説明が出ているので、「インストール」をクリックしてチェックを入れる。
同時に一覧の中から「thunderbird-l18n-ja」という日本語パックにもチェックを入れる。Synapticパッケージマネージャとファイル名が違うようだが、説明には「Japanese Language pack for Thunderbird」と書いてある。
2つにチェックを入れたら、右下の「適用」をクリックし、指示に従ってインストールする。
pamacでGNOME Softwareをインストール
Arch LinuxでもGNOME Softwareを利用することはできる。pamacでGNOME Softwareを検索して、インストールすれば良い。
AlterLinux独自のaptpac
AlterLinuxには、独自のaptpacというコマンドがある。apt形式に慣れた人のために作られたもので、「pacman」の代わりに「aptpac」を使えば、その後のコマンドはapt形式と同じに使用できる。例えば、インストールをしたい場合は
sudo aptpac install パッケージ名
となる。
これなら、ちょっとしたコマンド操作もしやすくなるだろう。
まとめ
日本で利用されている主なディストリビューションの系列別に、端末を使わないアプリのインストール方法をまとめてみた。これなら、Windowsで使用していたアプリでLinux版があるものなら、どのLinuxでも簡単にインストールでき、使用することができる。
例えば、筆者がエディタとして使用しているVisual Studio Codeは、Windows、Mac、Linuxのいずれでも使用でき、インストールファイルは「.deb」「.rpm」の他に「tar.gz」も用意している。
今回、ざっくり派及び初心者には敷居が高い「tar.gz」については書いていないが、いずれこの形式についても触れるつもりだ。
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