まだまだ32-bit版の軽量なLinuxはたくさんある。
例えば、老舗ながら未だ32-bit版をリリースし続けるDebianが代表的だ。今回は、そのDebianをベースにしたLinux Mintのセミ・ローリングリリース、 LMDE 4 Debbieを試してみた。
すでにLinuxディストリビューションの中では定番で使いやすさはもちろんのこと、インストール時から日本語で使用することができる。
LMDE 4 Debbieの概要
Linux Mintの通常バージョンはUbuntuをベースにしているが、コンピュータリソースの使用量を抑えられ、Ubuntuベースよりも快適に動くことを目的に、より軽いDebianベースを開発してきた。
Ubuntu同様使いやすく、Windowsから移行しやすいということで人気があるLinux Mintをより軽量で使えるのであれば、Linuxへの移行もより拍車がかかることだろう。
LMDEとは、Linux Mint Debian Editionの略だ。
2010年9月に最初のエディションとして”201009”がリリースされ、2015年に”LMDE 2”としてリリースされた。現在の”LMDE 4”はまだサポート終了期限は発表されていない。Debbieはこの最新バージョンのコードネームだ。
本家Debianがそうであるように、LMDEはセミ・ローリングリリースを採用している。
バージョン番号を用いず頻繁にアップデートを行なっていくのがローリングリリースだ。そして、セミ・ローリングリリースは、通常リリースよりアップデートの頻度は高いものの、再インストールや大掛かりなアップデートは不要という、よりローリングリリースに近いリリース方式のこと。
また、軽量が前提で開発されたディストリビューションなのだから、32-bit版をリリースし続けるのも頷ける。
今回は、その軽さを実感するため以下条件にてテストしてみた。
- 使用デバイス:Thinkpad X240(いつも64-bit版をテストしているPC)
- CPU: Intel Core i7-4600U 2.10GHz x 2
- メモリ: 2GB x 4
- ハードディスク: 500GB
一方、LMDE 4のシステム要件は以下の通りである。
- RAM: 1GB(推奨は2GB)
- ディスクスペース: 15GB(推奨は20GB)
- 解像度: 1024×768
これまで試してきた、他の32-bit版ディストリビューションよりはメモリ量が必要となるが、それでもシステム要件は軽量級と言えるだろう。
さっそくインストールを始める。
LMDE 4のインストール方法
インストールファイルは、以下公式サイトより入手する。
トップページのタブから「Download」にオンマウスするとバージョンを選択できるようになっているので、ここで「LMDE 4」を選択してクリック、「Download Links」で「32-bit」を選ぶ。
日本国内にダウンロード・ミラーはないので、韓国か台湾のミラーサイトを選択するのが良いだろう。
インストールしたisoファイルは、Balena EtcherでUSBに保存しよう。もちろんDVD-RWなどでも良い。
USBに保存したら、インストールしたいPCに差し込み、電源をONにする。通常起動が始まる前(PCメーカーのロゴが出たらすぐに)F12キーを押して、USBから起動させる。ファンクションキーはPCメーカーによって違うので、個々で確認して欲しい。
以下はインストーラの画面だ。ところどころ英語表記のみの画面はあるが、特に難しいことはなく、注意すべき点もないので、画像で紹介しておく。
インストール終了後、再起動を求められるので指示通りに行う。
インストール後の初期設定
再起動後のデスクトップは以下の通り。
画面中央の「ようこそ」ウィンドウの指示通り、初期設定を行う。「はじめに」をクリックすると、以下画面になる。
「システムスナップショット」はLinux Mintの定番で、システムのバックアップファイル作成のようなもの。指示通りにやっておこう。「マルチメディアコーディック」も同様に、指示通りに。
「アップデートマネージャ」では、アップデートするファイルのダウンロード先(ミラー)を指定しておく。メイン、ベースともに日本のサイトのどれかを指定しておこう(以下画面)。
指定後にアップデートが始まる。
「システム設定」でしておくことは、スクリーンセーバーの設定だ。スリープごとに画面がロックされ、その度にパスワードを入れる手間を省くために、「画面ロック設定」を2つともオフにしておくと便利だ。
日本語表示はできているが、まだ日本語入力の設定をしていないので、「入力方法」から設定する。
画面の指示通りに言語サポートパッケージをインストールし、ウィンドウ上部の入力方式フレームワークを「Fcitx」を選択して、一度ログアウト&ログインをする。
その後、画面右下のシステムトレイから入力メソッドアイコンを右クリックし、入力メソッドを「Mozc」にしておけば、以後半角/全角キーで日本語を選択できるようになる。
「ソフトウェアマネージャ」は後述のため、先に「ファイアウォール」の設定。これはパスワード入力後の画面で、ステイタスをオンにしておくだけで良い。
必要なソフトウェアはソフトウェアマネージャから
インストール時にある程度のソフトウェアはプリ・インストールされている。主なものは以下の通り。
- ブラウザ:FireFox
- メール:Thunderbird
- オフィスソフト:LibreOffice
- システム管理:Synapticパッケージマネージャ
32-bit版のため、オフィスソフトのLibreOfficeのバージョンは、2021年1月現在で「6.1.5」(64-bit版の最新は7.0.4)だった。しかし、常に最新を求めないのであれば十分使えるバージョンだろう。
FireFoxはESR(Extended Support Release:延長サポート版)版の最新バージョン、Thunderbirdも最新版だ。
プリ・インストールされていないソフトウェアは、「ソフトウェアマネージャ」からインストールしてみよう。例えば、筆者はFireFoxよりChrome派なので、オープンソース版のChromiumをインストールしてみる。
画面右上の検索窓に「Chromium」と入れると、以下画面になる。ソフトウェア名がわからなければ、カテゴリーの中から探しても良い。
探していたソフトウェアの画面を開いたら、上記のように「インストール」をクリックするだけだ。インストール時には必ずパスワード入力が要求される。
セキュリティも大事だ。
Linuxのウイルスソフトの定番、ClamTkを合わせてインストールしておこう。
LMDE 4のまとめ
今回は多少スペックが高いPCにてテストしてみたが、32-bit版は思いのほか軽く、Linux Mint定番の使いやすさも実感できた。これなら、多少スペックが低いPCでも十分使用に耐えられるだろう。通常リリースと違って、大きなアップデート作業を行う必要がないことは有難い。
しかしながら、使うソフトウェアには注意が必要だ。
上述の通り、LibreOfficeは32-bit版は6.3で終了しており、以後は全て64-bit版のみとなる。また、筆者はテキストエディタにVisual Studio Codeを使っているが、これも64-bi版のみだ。
32-bit版Linuxを使用するには、ソフトウェアの対応も確認しておくべきだ。
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