すでに日本ではスタンダードな、Windowsに近いLinuxディストリビューションとして定着しつつあるZorin OS。数年前に一度試したことがあったが、最新バージョンはどんなものか確かめてみたくなり、バージョン15.3(2020年9月時点)Coreエディションをインストールしてみた。
外観はまるでWindows
Zorin OSは、Ubuntuベースの軽量ディストリビューションとして知られている。WindowsやMacに替わるOSを検索したら、簡単にこのZorin OSにたどり着くはずだ。
Zorin OSには、以下4つのエディションがある。
- Ultimate
フルパッケージの有償版。6つのデスクトップから選べ、最初から20種類以上のゲームが含まれている。 - Core
スタンダードな無償版。デスクトップはWindows、Windows Classic、Touchの3種類を用意している。 - Lite
より軽量なXfceを採用した無償版。 - Education
学習用に用意された無償版。
UltimateとCoreは64-bit版のみ、LiteとEducationは64-bit版と32-bit版が用意されている。Ubuntu系では最新バージョンのほとんどが64-bit版のみしかない昨今、32-bit版が用意されているのは有難い。
ダウンロードは以下公式サイトから。
isoファイルをダウンロードしたら、DVD又はUSBへイメージファイルとして焼き付けて起動する。インストーラは一般的なGnomeインストーラと同じでわかりやすいので、省略する。
再起動後のデスクトップは以下画像の通り。ソフトウェアの更新があると表示されるので、指示に従う。終了後、再度再起動する。
左下にメニューアイコンがあり、プルアップされるメニューはまるでWindowsだ。つい昨年までWindowsを使っていた筆者も、懐かしく感じるほど。これなら、初めてこのOSが搭載されたパソコンを触る人でも、抵抗なく使い始めることができるだろう。
新機能のZolin AppearanceとZorin Connect
最新バージョン(15以降)の新機能は、「Zolin Appearance」と「Zorin Connect」だ。
デスクトップを自由に変えられるZolin Appearance
「設定」→「外観」を選ぶと、背景選択画面になり、そこに「Zolin Appearance」がある。これをクリックすると、以下ウィンドウが開く。
左からWindows、Windows Classic、Touchとなっており、使いやすいデスクトップを選べる。
例えば、Touchを選ぶと開いているソフトウェアのアイコンは中央に位置し、メニューを開くと以下画面のようなランチャー形式でソフトウェアを探すことができる。Ubuntuのメニューに慣れた人なら、これも使いやすそうだ。
又、Macのようにダークモードの使用が可能となった。「Zolin Appearance」の「テーマ」タブを開くと、背景色でモードを変えることができる。
Android端末と連携できるZorin Connect
メニューからZorin Connectをクリックすると、以下画像のようなウィンドウが開く。
この機能は、Android端末とZorin OS搭載のパソコンを統合できる機能だ。具体的には、
- 電話通知をコンピュータと同期する
- 携帯電話から写真を閲覧する
- コンピュータの着信通話やSMSメッセージの通知を受け取る
- Zorin OSデスクトップからのメッセージに返信する
- デバイス間でファイルやリンクを共有する
- 電話機をコンピュータのリモコンとして使用する
というもの。あいにく筆者はiPhone派なので、この機能は関係がないが、Androidのスマートフォンを利用している人には便利かもしれない。
Zorin OS 15.3 Coreのレビュー
とにかく使いやすい
使っていると、ふと「これはLinuxではなくWindowsなのではないか?」と思うくらい、Windowsに限りなく近いOSだと感じる。又、デスクトップテーマをTouchにすれば、Mac風、あるいはUbuntu風に使うことも可能だ。
又、OSとしての安定感もあるので、使っていて何の不安感もない。
公式サイトによれば、セキュリティ機能の取り組みも十分なようだ。Windowsでいうところのセキュリティパッチとソフトウェアアップデートは、常に行われる。
ソフトウェアは最新ではない
Zorin OSは、ベースとなるUbuntuのバージョンが最新ではないようだ。
普段、クラウドストレージとして使用している「MEGA」のデスクトップアプリをインストールしようとした時、対応するOSのバージョンを「Ubuntu 20.04」でダウンロードしたファイルはインストールできなかったが、18.04バージョンのファイルであればインストール可能だった。ということは、最新のUbuntu 20.04がベースになっていないということだ。
プリ・インストールされている、ソフトウェアのバージョンもまちまちだ。
Libreofficeは最新だったが、GIMPは少し前のバージョンだった。最近は、常に最新のソフトウェアをダウンロード可能なFedora 32を使用していたため、この点は少し不満が残る。
メーラーのデフォルトは、ThunderbirdではなくEvolutionだった。
個人的感想
最近、仕事で使う会計ソフトとしてGnucashを使い始めたのだが、あいにくZorin OSではこのソフトウェアをうまくインストールすることができなかった。
今まで最新バージョンの4.1でファイルを管理していたのだが、Gnomeソフトウェアでインストールできるバージョンは2.6.11で対応できない。また、Flathub経由でインストールするものは最新バージョンではあるが、日本語化ができない。
しかし、このソフトウェアのことを考えなければ、Gnomeソフトウェアにラインナップされている様々なソフトウェアを使うことができる。
また、最近の各Linux OSのように、端末を使ってまであれこれ指示する必要がなさそうだ。その点では、軽量かつ初心者向き、そしてWindowsからの乗換派に最適なディストリビューションだと思う。
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