SOHOスタイルの旅行会社を運営しているので、今回は旅行のことを書いてみよう。とは言え、魅力的な旅行先の紹介ではない。そういったことはウェブサイトですでに紹介しているし、オフィシャルブログではさらに掘り下げて書いているからだ。もし魅力的な旅行について知りたい人は「海外テニス観戦、海外乗馬、セントアンドリュース」といった検索ワードで、当社ウェブサイトやブログを検索して欲しい。
ブログタイトルの通り、このブログは旅行についての「ウラのそのまた裏」を書いていくことに意味があると思っている。なぜなら、このブログは会社のウェブサイトやオフィシャルブログへ一切リンクしてない私的ブログで、旅行会社の本音を吐露する場所だからだ。
旅行に関する「ウラの裏」とは、普段旅行者には話さない、または話せない旅行会社の視点である。究極は業界の裏話などになるが、今回は普段旅行者から依頼される旅行の見積りや手配で自身が感じることのひとつ、世代別の旅行に対するベクトルについて書いてみようと思う。
旅行のベクトルとは
旅行に対するベクトルとは、一言で言えば旅行者が旅行に対してどこに重きを置いているかということ、「目的」でもいいかもしれないが、少々ニュアンスが違うかもしれない。統計を取っているわけではないので、完全に個人的見解だということをご了承いただきたい。
例えば、毎週末各TVチャンネルで様々な旅番組が放映される。世界遺産や見事なくらい美しい水上コテージのリゾート、あるいはある国の、日本人の殆どが知らないだろう小さな村の紹介だったりする。それを見ている視聴者は、どこに魅力を感じているだろうか?ある人は、限りなくブルーな海であり、またある人は高級なリゾートホテルのファシリティかも知れない。あるいは、そんなリゾートの美しさには目もくれず、違うチャンネルの違う旅番組を見るかも知れない。まして自分がこれから行く旅行先のことを取り上げた番組なら、なおさらなことだ。
そして筆者の個人的見解でいえば、この違いは年代別、あるいは世代別で分類されるのではないかということだ。
年代・世代別に現れる趣向の違い
自分自身の趣向について述べれば、碧い海に浮かぶ水上コテージは魅力的ではあるが、それよりもそこに滞在していて、とびきり美味い飯に出会えるかどうかが非常に気になる。だいたい南国のリゾートで、自分の好みに合う食事に出会った経験がない。もしそこにアジアの屋台料理があったなら、自分にとって完璧なリゾートライフとなるだろう。
しかし比較的若い世代は、食事よりも重視することが別にあるようで、ハネムーナーやカップルなら2人だけの空間を作り出す客室のファシリティ(天蓋付きベッドがあるかなど)のほうが気になるところなのではないかと推察する。
今まで多くの旅行手配をしてきた自分が、このことを独断で分類すると以下のようになる。
- 10~20歳台前半
主にカップルは、2人で旅行をすることが何よりも大事。旅行先は安近短でもいい。理由の一つとして、経済的にまだ充実していないことが挙げられる。 - 20歳台後半~30歳台
結婚という一大イベントを迎え、旅行の目的はハネムーンという人が多い。甘い新婚生活に取り入れられるものがあるか、ホテルのファシリティを重要視する傾向があるようだ。 - 40~50歳台
生活が安定してくると趣味を重視する傾向があるようで、旅行の目的は多種多様だ。経済的にも安定しているので、予算も余裕がある。 - 50歳台~
おおかたの名所には行き尽くし、旅行の目的は食事へと移り変わる。
また、定年を迎えて仕事中心だった生活が変わると、第二の人生を謳歌することに重きをおくようになり、パートナーとの生活の再発見が旅行の目的の一つになる。
いかがだろう、自分の旅行のしかたを考えると「当たらずとも遠からず」といったところではないだろうか?
旅行のベクトルは五感へ
さて、このように旅行のベクトルを知ったところで何の意味があるか?
それは自分自身が旅行に何を求めているかを、いま一度冷静に考える指針になるのではないかということだ。自分とは違う世代が、旅行にどんなことを求めているのか、またどんなことが旅行の魅力になっているのかを見直してみると、一層楽しく、魅力的な旅行になるのではないか。
そして、究極の旅行のベクトルは「五感で感じる」ことへと向かう
デジタルで育った世代は、大画面で高画質なテレビ画面やVRで臨場感を感じるかもしれないが、実際にその場所の空気に触れ、風を感じ、食を味わい、匂いをかぐ…ということは、けっしてデジタルでは経験できないことだ。
そしてその中には五感のうちの一つ、「味覚」が必ず含まれる。思い出してみてほしい、ミシュランガイドの格付けでいうところの「3つ星」は、そこで食事をするためだけに行きたいという価値があるレストランを指すということを。
旅行とは、本来そういうものである。旅行会社として言いたいことは、五感で感じるリアルな旅行に出かけてほしいということだ。
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