イタリアに到着してから初めての3連泊は、ここシラクーザにて。チェックインした翌日は、この町で一日ゆっくりと取材した。
シチリア一美しい町シラクーザ
筆者の会社のコンテンツに、絵のモチーフ探しとしてスケッチ旅行がある。主にグループ向けに提案するものだが、企画からツアー造成、添乗までを請け負っている。顧客は主に絵画教室の先生と生徒たちだ。
スケッチ旅行では観光地はほとんど訪問せず、ひたすら絵の題材になりそうな小さな町や村を訪問する。そして大事なのは、教えている先生が普段どのようなモチーフで作品を描いているかだ。フランスの鷹の巣村のような風景を好む先生から、トスカーナの家並みの色を好んで描く先生、そしてヴェネチアのような水辺とその町の風景を描く先生など様々。油絵から水彩画、日本画の先生まで案内したこともあった。
このシラクーザは、必ず自分の作品の中に水辺を入れる先生とその生徒たち向けに企画したツアーで訪れたのが初めてだった。町・村によって先生が気に入って何作もスケッチをしたり、さほど絵にならないと言われることもあるが、シラクーザはわりと好評だった。
最初のツアーで好評だったので、他の絵画教室の先生にも勧めたため、添乗員として3回訪れた。だから、この町にはちょっとした思い入れがある。
地図を見てもらえばわかるが、シラクーザの町のほとんどはシチリア本島に属している。そして、旧市街だけは橋でつながっているオルティージャ島にある。町のいたるところに古代ギリシャの遺跡があり、ギリシャの植民都市であったことがうかがえる。
だが、絵を描く人にとってそんな遺跡は関係ない。どちらかというと、要塞のようなオルティージャ島突端に溶け込む教会と海が見えるアングルとか、イタリアらしいカラフルな漁船の停留している水辺など(以下画像)。だから、町をめぐる際もそういったところにばかり目が行く。
そしてコンパクトにまとまったオルティージャ島の旧市街は、観光で訪れても十分価値があり、ぶらりと散策するにもちょうど良い大きさだ。ユネスコ世界遺産にも登録され、シチリア一美しい町ともいわれている。だからこの町は、個人的には何度でも訪れたくなる。
シラクーザのホテル
連泊するホテルは移動に便利で、居心地の良いホテルを選びたいもの。
この度宿泊した3つ星のMediterraneoは、バスターミナルとFS鉄道駅に近く、かつ旧市街のあるオルティージャ島まで徒歩10分ほどで、取材に限らず観光にも絶好のロケーションだ。
居心地はというと、ヴェネチアとローマで4つ星ホテルに宿泊した後なのでそれなりとは思っていたが、まずまずの快適さだった。唯一の難点は、最上階の部屋にアサインされたにもかかわらずエレベーターがなく、重たいスーツケースを担いで登らなくてはならないこと。それ以外は必要最低限のものはそろっているし、広さは十分にあって連泊するのに何ら問題はない。
朝食はコンチネンタルで、パン、ハム、チーズ、フルーツの他はヨーグルトとコーヒーくらい。だが、どれも新鮮かつ美味なものばかりを選んでいる。
連泊するときは、過度に豪華さばかりを求めるのではなく、快適に過ごせることがホテル選びの条件のひとつかもしれない。
ちなみにオルティージャ島内にあるホテルは高級な5つ星リゾートホテルか、ゲストハウスのようなこじんまりとしたホテルしかなく、いずれも連泊するには少し窮屈さを感じるのではと思って選ばなかった。
オルティージャ突端のレストラン
この日は朝からオルティージャ島へ向かい、さっそくカメラを手に旧市街へ。ドゥオーモやその他周りの建物は改装されたのか、以前と比べると壁が真新しくなっていて、真夏の強い日差しにまぶしいほどだった。市庁舎が入っている建物にはなぜかスパイダーマンのオブジェが…、珍しかったのでこれもカメラに収めた(トップ画像)。
7月のシチリアは日差しが強く、長い間歩き回るのは大変だ。一通りカメラに収めたら昼食探し。
オルティージャ島の突端まで来ていたので、海沿いのプロムナードに建ち並ぶレストランを物色したが、観光地メニューと値段にちょっと躊躇し、もう少し探すことに。プロムナードのある西海岸から小道を抜けて反対側の海岸沿いへ行くと、こちらはレストランやバールがまったく見当たらない。
それでも海岸沿いに少し歩くと1軒のカフェレストラン風のお店が…、ここ「aLevante Restaurant」で昼食兼休憩をすることにした。シチリアに到着してからまだシチリアらしいものを食べていないので、ここで初めてのシチリア料理だ。せっかくなので、パラソルの下のオープンテラスで頂くことにした。
最初はビール。昨晩のバール同様いろいろなお通しがついてくる。中でもシチリアのモチモチパンにドライトマトのオリーブオイル漬けはビールによく合う。
次はアンティパストのSmoked Mix。サーモン、ツナ、太刀魚のスモークになぜかパイナップルとマヨネーズをトッピングしたもの。食べ物にパイナップルが入っているのは好きではないのだが、これが意外にマッチしている。
パスタはシチリア・トラパニのBusiate Trapaneseにカタクチイワシのトマトソース。こんなパスタは、日本ではなかなか見かけない。冷たい白ワインによく合う。
食事をしていると、日本贔屓と自称するイギリス人がこのレストランに来て、我々と同じテラス席に着いた。そしてすぐに我々が日本人と分かったのか、向こうから話しかけてきた。リーダー格の色白男性はその中でも特に日本が好きらしく、日本のことをあれこれ語ってくる。
別れた後もそのリーダーを密かに”Sir”と名付けて楽しんでいたら、後日カターニャ空港でばったり会うことに。
観光地料金のものとは違うシチリアの食事を楽しみ、シラクーザの街並みを十分に取材してこの日は終了。明日はラグーザに出かける予定だ。夜は、前日同様Cafe D’Ortigiaへ出かけた。ランチでたっぷり食べたので、バールのお通しで夜は十分。
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