いよいよ今回の出張兼個人旅行の目的の一つ、シチリアへ移動する。
筆者が運営している旅行会社のウェブサイトでは、自身が訪れたシラクーザとラグーザを含むスケッチツアー添乗記及び写真を掲載しているが、その写真は非常に小さなもの。以前出張で撮りためてきた大きな元画像が入っていたパソコンがクラッシュしてしまい、大量の画像もろとも吹っ飛んでしまった。今回はその画像を少しでも取り戻すべく、シチリア行きを計画に入れた次第だ。
シチリアについて
なぜシチリア訪問にこだわるのか?
理由のひとつは、冒頭で触れた通り失ったシチリア各都市の画像を再び撮影してくるため。これは仕事の資料として必要なものだ。
そしてもう一つの理由は、どうしても筆者を惹きつけてやまないシチリアの魅力があること。
シチリアのイメージといえば、映画ファンなら「ゴッドファーザー」の舞台として、そしてマフィアのルーツとして知られているが、今はそんなことは全くない。
筆者が感じるシチリアの魅力は、古代ギリシャとアラブとイタリア文化の融合だ。それは主に建造物によく現れている。のちのち訪れた町の画像をアップするので、よく見てほしい。
イタリアの一般的な建物のイメージといえば、赤茶色の瓦屋根とサンドベージュの壁の家並みが顕著なトスカーナの町並みだろう。しかし、赤道により近いシチリアでは、強い日差しに耐えられるよう、使っている石が違う。建築家ではないので詳しい原材料は知らないが、それが南国の風景に溶け込んでいる。
そして、南北に細長い日本で様々な文化の違いがあるように、イタリアでも北と南ではだいぶ違う。特に食べ物、シチリアの食生活は本島とはだいぶ違うと認識している。住んだことがあるわけではないただの旅人が感じるくらいだから、住んでみたら余計わかるだろう。
これも追々、実際に食してきた食事レポートを含め紹介していきたいと思う。
「イタリアに入ったことがあるけど、シチリアはまだ…」という方は、試しにシチリアを訪れてみると、筆者が感じていることが少しでもわかるのではないかと思う。
シチリアへのアクセス
シチリア島には、北西部にパレルモ、南東部にカターニャ2つの主要国際空港がある。その他コミソという空港があるが、これはほとんど利用価値がない。なので、訪問する都市によってパレルモかカターニャの空港を利用するとよい。
パレルモ空港から市内へは空港バスで約1時間、カターニャ空港から市内へもやはり空港バスで約1時間で到着する。
ちなみにシチリアへ行くなら、筆者が利用した特別航空券に限らず、日本からアリタリア航空で全てのフライトを統一すると便利だ。
レオナルド・エクスプレスでローマ・テルミニ駅から空港へ
この日のシチリア行フライトは午後の出発。午前中は少し時間があるので、朝食後ローマ市内をぶらぶら。主にテルミニ駅構内や周辺を写真を撮りながら散策する。
テルミニ駅はイタリア随一のターミナル駅。とても巨大で、ホームだけでも30以上ある。狭い土地を利用して建てられ、地下や地上へ複雑に上下移動を強いられる日本のターミナル駅とは違い、全て同じ地上階にずらっとホームが並んでいる。そのため、電光掲示板で目的の列車のホームがわかっても、移動するのが一苦労だ。この駅から乗車するときは少し余裕をもって駅に到着したほうが良いかもしれない。
空港行のキップはレイルパスでカバーしていないため、自販機で切符を購入する。乗車前に各ホームにあるバリデーションマシーン(以下画像)でバリデートする。これを怠ると罰金を科せられることがあるので、要注意だ。
空港線を運行するレオナルド・エクスプレスは、テルミニ駅から約40分でローマ・フィウミチーノ空港に到着。例のごとく事前にウェブチェックインを済ませていたので、スーツケースをDrop Offカウンターに預けたら昼食だ。
ローマ空港は巨大なイタリアのハブ空港で、空港内にショップやレストランが多数ある。シチリア・カターニャ空港までは国内線のため、国内線専用ターミナルから出発するのだが、ここのフードコートがすごい。なんとこんな分厚いステーキまで空港で食べることができるのだ。今回はトスカーナをスルーしてしまっているので、愛するビステッカ・アラ・フィオレンティーナ(フィレンツェのTボーンステーキ)を食べる機会がないと思ったら、ローマの空港で出会えた!
シラクーザのカフェ
1時間少々でカターニャ空港に到着。事前に調べておいた空港バスでシラクーザ市内へ、これも1時間少々。シラクーザのバスターミナルに到着した時、やっとシチリアに戻って来れた気がした。そう、何度も訪れているシラクーザだ。
ホテルはバスターミナルと駅に近い、Mediterraneoを選んで予約しておいた。
シャワーを浴びたのち、旧市街があるオルティージャ島へ。すでに夜8時だが、まだまだシチリアの夕暮れは続く。
目抜き通りに面し、アポロ神殿前にパラソルを広げていたバール「Caffe D’Ortigia da Mario」に入り、冷たいワインとともに夕涼み。何か食事をしようと考えて入ったのだが、なんとワインを頼んだだけで山のようなお通しが出てきた。「こんなものは頼んでいない」と店員に告げると、それも飲み物代に含まれるという。これも先に触れたシチリアのスタイルだ。
それならと、頂いた山のようなお通しとワインでシチリア1日目を締めくくった。
ちなみにこのお通し、とても美味だ。とくに、ニンニクとケッパーをビネガーとオリーブオイルで漬けたもの(画像右上)は、酸味が効いたニンニクが爽やかで、いくらでも食べれそうだった。もしシラクーザに行く機会があったら、入ってみるのもいいかもしれない。
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