WindowsからLinuxに替える際には、なるべく違和感なく使用できるOSが良いだろう。
そんなときに最適なのが、ヴェトナム発のディストリビューション、MakuluLinux LinDozだ。その最新版2021.03.05がリリースされたので、さっそく試してみた。
使い慣れたWindowsのUIを維持したLinux
MakuluLinuxの最大の特徴は、まるでWindowsと思わせるUIだ。
Zorin OSやQ4OSなど、Windowsに寄せて開発されたLinuxディストリビューションは数多くあるが、このディストリビューションの見た目はまるでWindowsだ。
インストールしてみた感想は、使いやすいの一言。なのに最新のDistroWatchランキングでは83位とかなり低い。おそらく、まだ認知されていないのだろうと推察する。
Ubuntu LTSをベース、Cinnamonフレームワークとしているので、すでにLinuxに触れてきた人にも使いやすく、かつて使用していたWindowsのようでもあって懐かしささえ感じる。
冒頭画像は、セットアップ終了後のデスクトップのスクリーンショットだ。
左下のメニューアイコンから始まるメニューはカテゴリー別にみやすく分かれていて、パネルにお気に入りをおかなくてもすぐにアプリが起動できる。
しかし、使用してみると良い意味でLinuxであることを改めて認識できる。
Windowsのようにライセンスに縛られた堅苦しさはなく、自由かつ簡単にアプリをインストールすることができ、そして自由に環境をカスタマイズできるのは、オープンソースであるLinuxならではだ。
最近はMicrosoftもOSSに力を入れていて、段々とLinuxに寄せてきているようだが、やはりLinuxの自由さには敵わない。
MakuluLinuxは、Windowsの使いやすさを継承しながらLinuxの自由さを併せ持つ、日本人にとって使いやすいディストリビューションなのかもしれない。
MakuluLinux LinDozをインストール
インストールファイルは公式サイトから入手する。
拠点がヴェトナムのため、ダウンロードに問題があるらしい。そこで、ダウンロードはSourceforgeやGoogle Driveなど、様々なミラーを用意している。筆者の場合、Sourceforgeはダウンロードが遅かったので中断し、Google Driveで再度行ったらかなり早くにダウンロードできた。
ダウンロードサイズは1.9GBだ。Balena EtcherなどでUSBに保存・起動するのが良い。
最新バージョンのシステム要件は以下の通り。
- アーキテクチャ:64-bit
- RAM:2GB(推奨は4GB)
- ディスク容量:10GB(推奨は20GB)
起動後の初期画面は上記の通り。
壁紙もXPを思い出しそうな感じだ。デスクトップに置かれたインストーラをダブルクリックでインストールが始まる。
Ubuntuベースなので、例によってインストーラはとても簡単だ。
最初にインストール中のダウンロード・サーバーの設定があるので、ここを済ませておこう。その後は以下にスクリーンショットを貼り付けておく。
インストール後の初期設定
日本語環境設定
インストールは日本語で進むが、再起動したデスクトップは上の通りConkyが文字化けしている。
まずは、開かれたSetup Managerの指示通り設定をしていく。まだ英語表記だが、なんとなく理解はできる程度だ。また、設定が不要と思われるもの(GoogleやFacebookなどAccount設定など)はスキップして構わない。
Languageにきたらボタンをクリックし、以下のように開く言語パックインストーラ・ウィンドウで「Japanese」を選択してインストールを行う。その後も指示に従って進み、Finishで完了だ。
だが、デスクトップの文字化けは変わらず、日本語環境の設定はまだ終わっていない。
次に、メニューから「設定」–>「言語」に進み、開いたウィンドウの「言語サポート」で「言語のインストールと削除」を開く。そこでスクロールしていくと、日本語が「言語パッケージが不足」となっているので、インストールを行う。
これでログアウト・ログインすればOKだ。
日本語入力設定
日本語環境を整えただけでは、日本語入力はできない。
メニューからSynapticパッケージマネージャを開き、「fcitx-mozc」と検索して、ヒットしたものを全てインストールする。ここら辺はLinuxらしい作業だ。
デフォルトのアプリ
システムに関するアプリは様々インストールされているが、意外にもプリ・インストールされているアプリは少ない。以下、デフォルトのアプリを紹介する。
- ブラウザ:Google Chrome
- テキストエディタ:Leafpad
- メーラー:なし
- オフィス系ソフト:なし
- サウンド:mpv Media Player
Ubuntuベースでありながら、FireFoxやLibreOffice、Thunderbirdが入っていないのは珍しい。幸い、SynapticパッケージマネージャとGnomeソフトウェアはプリ・インストール済みなので、ここから各種インストールを行う。
ネットからダウンロードしたものは、Gnomeソフトウェアでインストールが可能だ。
会計アプリのGnucashは、Flathubからダウンロード&インストールしたが文字化けするので、SynapticパッケージマネージャにてIPAフォントをインストールして対応する。
カスタマイズはいつも行っている通りでLinuxらしいが、設定が終われば使いやすさは上述の通りだ。
まとめ
Ubuntu LTSベースなので、ちょくちょくアップグレードする必要はない。また、日々のアップデートも端末を使用することなくGUIで事足りる便利さと、Windowsで作業しているような使い心地が特徴のMakuluLinuxは、これからどんどんランキングが上がると予想する。
あえて難点を指摘するなら、KDEプラズマほどにヘビーな印象を受ける。低スペックでは使用に無理があるかもしれない。
使っているとLinuxであることを忘れがちだが、使い勝手はLinuxであることをお忘れなく。
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