UbuntuやLinux Mintなど、最初から日本語で表示されるLinuxは人気が高い。
今回インストールして試してみた、「Simple, Private, Green」がテーマのEnso OSも、日本語環境や入力など特別な設定を行う必要がない、初心者向けのLinuxディストリビューションだ。
とは言え、シンプルなだけにほとんどのアプリケーションがプリ・インストールされていない。しかし、裏を返せば自分の好みにカスタマイズしやすい。
今回は、インストールよりも、その後のカスタマイズに焦点を合わせてみる。
Enso OSの特徴
Enso OSはイギリスにて開発された、Xubuntuをベースとしたディストリビューション。
歴史は浅く、2018年にファーストリリースしたばかりだ。Linuxディストリビューションで最もエレガントで美しいとされるelementary OSから、以下を引き継いでいる。
- MutterをベースとしたGalaウィンドウマネージャ
- Pantherアプリケーションランチャー
- Plankドック
とはいえ、あくまでEnso OSのオリジナリティを出すべく、ドックは画面下中央ではなく左寄せでMateのようでもあり、アプリケーションランチャーは画面中央に開かれる。
そして、ソフトウェアにGnomeを用いずに独自のAppHiveを用意するなど、随所でerementary OSを匂わせるディストリビューションだ。
イギリス開発でありながら、背景に桜の画像、端末も「Sakura」ということから、日本での利用を意識したディストリビューションなのかもしれない。
Enso OS 0.4をインストール
Enso OSの2021年3月現在における最新バージョンは昨年リリースされた0.4、Ubuntu 20.04 LTSをベースにしている。
インストールソフトは公式サイトよりジャンプするSourceforgeから。
例によってインストールは超簡単なので、インストーラのスクリーンショットを貼り付けておく。
インストール後の設定
最初から日本語で使えるとはいえ、「Simple, Private, Green」がテーマのEnso OSには、ほぼなんのアプリケーションも入っていないので、すぐに使えるというわけにはいかない。
プリ・インストールされているものは、
- FireFox
- Fcitx(言語設定)
- AppHive(ソフトウェアの追加と削除)
- Vim(テキストエディタ)
くらいなものだ。
そこで、ざっくり派の筆者は以下のようにカスタマイズすることにした。普段使いのアプリさえ入れてしまえば、あとは余計な設定は不要なので使いやすさが際立つ。
- Synapticパッケージマネージャのインストール
- SynapticパッケージマネージャでGnomeソフトウェア、Thunderbird(メーラー)及び日本語ファイル(thunderbird-locale-ja)のインストール
- Gnomeソフトウェアから直接インストールできるものをインストール
- FireFoxで各公式サイトからGoogle Chrome(.debファイル)、MEGA(.debファイル)、Visual Studio Code(.debファイル)、LibreOffice(tar.gzファイル)をダウンロード
- .debファイルは「ソフトウェアでインストール」、tar.gzファイルはダウンロード先で展開し、端末でdpkgインストール(後述)
- FlathubでGnucash(会計ソフト)及びGIMPをダウンロード、「ソフトウェアでインストール」
以下順を追って説明する。
1.のSynapticパッケージマネージャは、いつもの通り端末からインストールする。
sudo apt -y install synaptic
2.のGnomeソフトウェアは、「ソフトウェアの追加と削除」アプリとしては最強と思っているので、どのディストリビューションでもマストでインストールしている。
起動後、検索窓で「Gnome-software」とタイプし、出てきたもの全てにチェックを入れて「適用」をクリックすれば、インストール完了だ。flatpakとsnapのプラグインもあるので、忘れずにチェックをしておこう。
今回はThunderbirdもSynapticからインストールしたが、インストール後にGnomeソフトウェアからインストールしてもよい。
4〜5.Gnomeソフトウェアではバージョンが古いものやインストールできないものは、オリジナルサイトからダウンロードしてインストールする。
GnomeソフトウェアでインストールできるChromiumではなく、Google Chromeをインストールしたい場合は、サイトからダウンロードしたインストールファイルを右クリックで「ソフトウェアでインストール」を選ぶ。
その他のアプリも、インストールファイルが.debファイルであれば、同様にインストールが可能だ。
一方、LibreOfficeのようにインストールファイルがtar.gzファイルの場合は面倒だ。
これは覚えてしまうしかない。インストールファイルを右クリックで展開し、展開したフォルダ–>DEBSフォルダに移動し、フォルダ内で端末を開く。その後、
sudo dpkg -i *.deb
とすれば、インストール完了だ。LibreOfficeは本体の他、langpack_ja、helppack_jaのファイルがあるので、本体のインストール後同様に展開ののち、言語パック、その後ヘルプパックを端末でインストールする。
6.は、Gnomeソフトウェアではバージョンが古いものを、Flathubからインストールする方法だ。
Linuxでは唯一と言えそうな会計ソフトのGnucashとグラフィックソフトのGIMPは、Gnomeソフトウェアではバージョンが古い。そこで、Flatpakのアプリケーションサイト、Flathubからインストールファイルをダウンロードする。
ファイルをダウンロードしてしまえば、4〜5同様右クリックで「ソフトウェアでインストール」を選べば良い。
まとめ
自分がいつも使用するアプリをインストールしたのち、ドックに一列に並べてみたのが冒頭の画像。中央にアプリケーションランチャーを開いた状態にしてスクリーンショットを撮っている。
アプリ以外の余計な設定は不要なので初心者向きかもしれないが、アプリのインストール方法がわからないと始まらない。なので、簡単ではあるが各インストール方法を列挙しておいた。
初めてLinuxに触れる本当の初心者にはハードルは高いが、一度なんらかのディストリビューションに触れた人には、簡単に使いこなせるだろう。
インストールテストが終わったら、いつも筆者はFedoraに戻すのが常だ。なぜなら、筆者にとってはFedoraが最も使い勝手が良いから・・・である。
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