初めてLinuxを使おうと思うとき、数多くのディストリビューションの中から自分にあったものを選ぶのはなかなか難しい。
例えば、WindowsからLinuxに変えようと思っているときは、
- 見た目がWindowsに近い、似ている
- 設定が簡単、わかりやすい
- すぐに日本語で使うことができる
- 今まで使っていたアプリが使える
などが挙げられるだろう。
今まで数多くのLinuxディストリビューションを、一回一回インストールして確かめてきた筆者が、今回、上記要望のLinux初心者におすすめするのは、2014年英国で開発されたFeren OSだ。
Feren OSについて
Feren OSは、比較的新しいディストリビューション。
当初、Linux Mintをベースとしていたが、2020年よりUbuntuベースのKDEプラズマデスクトップを採用した、日本人にも使いやすく美しいディストリビューションである。
2021年1月現在の最新バージョンは、「Feren OS 2021.01」だ。
疑似ローリングリリース方式を採用しており、OS全体を頻繁にアップグレードすることなく、使用可能なアプリケーションの一部を頻繁にアップデートすることで、常に最新状態を保っている。
Feren OSの最大の特徴は、Windowsユーザーの乗り換えOSとしての位置をかなり意識して開発されているということだ。
デスクトップにKDEプラズマを採用したことで、Windows10に近い見た目と操作性を提供している。
また、「Feren OS Transfer Tool」という、Windowsからの乗り換えツールを用意していることだ。ある程度の設定やファイル転送など、このツールを使用して簡単に行うことができるらしい。
「らしい」というのは、筆者はすでにWindowsの使用をずいぶん前にやめているので、ファイルの転送自体必要ないため、使っていないからだ。
一方、Macユーザーもターゲットに入れている。
デスクトップのパネルには、Macのドックのように中央にお気に入りアプリを並べることができる。
初心者向けのツールも充実している。
例えば、ほとんどのLinuxディストリビューションのブラウザは、FireFoxまたはChromiumがデフォルトだが、Web Browser Managerにて好みのブラウザを簡単にインストールすることができることだ。
Chrome派の筆者としては、最初からGoogle Chromeをインストールできるよう設定されていることは驚きだ。現時点ではMicrosoft Edgeはインストールできないが、開発中のようなので今後に期待しよう。
日本語設定も割と簡単だ。
Input Method(後述)には、インストール後の日本語設定が順を追って丁寧に解説されているので、そのとおりに設定を進めることができる。
DistroWatchの最新ランキングでは53位と低めだが、新しいこととディープなLinuxファンには物足りなさがあるのかもしれない。
しかし、翻せばそれだけ簡単だということだ。
Feren OS 2021.01をインストール
さっそく、公式サイトより最新バージョンのisoをダウンロードして、インストールしてみる。
インストールの際のシステム要件は以下のとおりだ。
【システム要件】
RAM:1〜2GB(推奨は4GB)
ディスク容量:20GB〜(推奨は50GB〜)
解像度:1024×768以上
64-bitアーキテクチャ
いつものとおり、ダウンロードしたisoファイルをBalena EtcherでUSBに焼き付け、PCをUSBから起動する。起動後のライブ画面は以下のとおり。
インストーラの最初の画面で日本語設定にすれば、以後日本語で進むので特に問題はない。ユーザー設定は再起動後のWelcome画面にて行う。
インストール後の各種設定
無事インストールが完了し、再起動すると上述の通り、Welcome画面にてユーザー設定を行う。その他ロケール設定(タイムゾーン)やキーボード設定があるが、指示通り行えば簡単なので、ここでは割愛する。
次に必要なアップデートだ。
画面右下のパネルから、アップデートマネージャを開く。まだ、英語のままのところはあるが、簡単な英語なので、指示通りにアップデートを行う。
日本語の設定
まずは日本語環境を整える。
メニュー–>設定–>Languageを開く。
言語、地域、時間はすでに設定されているものの、言語サポートを開くと、各国の「言語パッケージが足りません」という中に、日本語も同様に表示されている。これを選択して、追加インストールを行う。
その後、ログアウト・ログインを行えば、以後日本語表示となる。
次に日本語入力設定。
メニュー–>設定–>Input Methodを開くと、以下画面となる。
「Japanese」を選んだ後は、画面の指示通り
- Language support packageのインストール(「install」をクリック)
- ウィンドウ上部中央の「ibus」となっているプルダウンから、「fcitx」を選択
- ログアウト・ログイン
で完了だ。
必要なアプリのインストール
ブラウザ以外の必要アプリは、設定の中の「Store」と「Synapticパッケージマネージャ」を使う。どちらもUbuntuやLinux MintなどUnix系ディストリビューションには、おなじみのパッケージマネージャだ。
「Store」は、デフォルトでFlatpakのリポジトリも登録されているので、Flathubの各種アプリをインストールすることができる。
だが、一つ困ったことが起きた。
Flathubから会計アプリのGnucashをインストールしたら、いきなり日本語が文字化けだ。
しかし、あわてることはない。日本のパソコンにおける標準フォント、IPAフォントを「Synapticパッケージマネージャ」でインストールすることで、すぐに解決した。
その他のアプリでも、万が一文字化けしていたら、この方法で解決する。
Feren OSの個人的レビュー
古いPCをLinuxで再利用している人から見れば、多少スペックが高いPC(Thinkpad X240、8GB)を使っているつもりだが、KDEプラズマデスクトップは動作がいちいちグラフィカルで、言ってみれば、「歌舞伎のような」仰々しさがかえって面倒くさい。
筆者のお気に入り、GnomeデスクトップのFedoraと比べると、どれをとってもスローな動きだ。けっしてスペックが低いわけでもないので、KDEプラズマはオフィス向きではないかもしれない。
しかし、上述のような導入のための各種アシスタントが充実しているので、個人ユースとしては初心者向きだろう。
オフィス系ソフトのLibreOfficeも、最新バージョンがインストール済みなので、Windowsから乗り換える人も違和感なく使用できると思う。
繰り返すが、DistroWatchでは人気は低めだ。
しかし、それはけっして使いにくいということではなく、ディープなLinuxファンには不向きということであって、今後初心者向けディストリビューションとして、ますます注目されていくことだろう。
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