2019年6月、もたもたしているうちにWindows7のサポート終了まで、あと半年である(執筆時点)。
前回はLinux Mintという、Linuxの中で比較的軽めのディストリビューションを選んで、Windowsパソコンにインストールするためのisoファイルを、ダウンロードするところまで案内した。
今回は、WindowsパソコンにLinuxをインストールしてみる。
実際にLinux Mintをインストール
インストールの詳しい方法は、公式サイトの日本語ユーザーガイドに詳しく書かれている。なので、ここではざっくりと説明する。
isoファイルでパソコンを起動
ダウンロードしたisoファイルを起動ディスクにするため、DVDやUSBメモリーなどに焼き付けておく。
起動ディスクとは、パソコンをDVDやUSBから立ち上げるためのディスクのことだ。
電源が入っていないパソコンに、DVDやUSBを接続しておく。インストール中にダウンロードするものがあるので、ネット環境を整えておこう。
パソコンの電源を入れたら、メーカーロゴが出ているうちに(Windowsが立ち上がる前に)ファンクションキーのF12を押したままにする。
パソコンによってファンクションキーが違うので、起動ディスクを変更するファンクションキーを、事前に確認しておくとよい。
インストールを開始
起動したLinux Mintの画面は、すでにWindowsではない。
だが、これはディスクから起動したものなので、実際にはまだインストールされていないライブ画面だ。
画面左側に「Linux Mint Install」というアイコンがあるので、これをクリックすることでインストールが始まる。
画面の指示に従ってLinux Mintをインストール
インストーラ画面は英語で始まるが、心配ない。最初に言語設定があるので、そこで日本語を選ぶ。
次にインストールの種類だ。
Windowsをさっぱりと消去してLinuxに変える場合は、「ディスクを消去してLinux Mintをインストール」を選ぶ。いざというときは、前回の記事で紹介した「システム修復ファイル」でまたWindowsに戻せばよい。
何らかの理由で、Windowsとデュアルブート(2つのOSを共存させること)にしたい場合は、それ以外を選んでパソコンのパーテーション設定をするのだが、ここでは省略する。
あとは画面に従ってインストールを進める。インストールが終了すると、「起動ディスクを取り除いて再起動」の指示が出る。
これでWindowsが入っていたパソコンへ、Linuxのインストールが完了した。
インストール後にすること
再起動したLinux Mintは、見た目がさほどWindowsと変わらないと思うだろう。
左下にメニューアイコンがあり、ここからさまざまなアプリケーションを起動する。
最初はあれこれ触ってみて、どんな感じか確かめてみるのもいいだろう。そして、どこがWindowsと違うのか、自分で理解していくのが大切だ。
例えば、同じDebian系であれば、どのディストリビューションを選んでも、操作方法はさほど変わらない。だから、わからないことをネットで検索した結果が、UbuntuであろうとLinux Mintであろうと、操作方法は変わらないと考えておいても良いだろう。
筆者個人としては、ネット上でよく見る「インストール後にすべきこと」は、必ずしもすべて行わなくてもいいと考える。
それでも最低限しなければならないことを列挙しておこう。
アップデートマネージャで常に最新の状態に
左下のメニューアイコンでメニューを開くと、大きく「場所」「システム」「アプリケーション」に分かれている。
「場所」はWindowsでいうエクスプローラーのようなもので、ファイルの場所を探すためのものだ。
「システム」は、主にアプリケーションのダウンロードや各種設定をするコントロールセンター、「アプリケーション」はさらにアクセサリ、インターネット、オフィスなど各項目ごとに予めインストールされているアプリケーションが整理されている。
パソコンを常に最新の状態に保つことは、どのOSでも大切なこと。
アプリケーションの「システム管理」という項目から「アップデートマネージャ」を選ぶ。これはWindowsでいうところの「Windows Update」だ。
このアプリケーションを開いて、最初にしなければならないことは、ミラーサイトの設定、Linux Mint特有の設定だ。これは、更新プログラムをどこからダウンロードするかということ。
Linuxは全てがオープンソースなので、世界中でディストリビューションごとに最新のダウンロードファイルを開発・所有している。
なので、自分の居住地から一番近いミラーサイト(日本だとriken.jp、jaist.ac.jp、tsukuba.ac.jpなど各大学のドメインなど)から、最も速度が速いところを選んでおく。
メインとベースの2種類選ぶところがあるので、それぞれネットワーク速度の高いところを選んでおけばよい。
ディレクトリ名を英語に変更、はしなくてもよい
ディレクトリ名の変更は、必ずと言っていいほど「インストールしたのちにすべきこと」に入っている。
しかし、UbuntuとLinux Mintを何度かインストールしては削除を繰り返してきた筆者の見解は、これは不要と考える。
なぜ、ディレクトリ名を英語にしなければならないかというと、後々いろいろ出てくる端末による操作の際、日本語では何かと面倒だというだけの理由だ。
ざっくりLinux派としては、出来るだけ端末は使用せず、グラフィックな画面のみでWindowsのように使いたいので、この操作は不要だ。
もしどうしても端末を使用しなければならない時でも、ディレクトリ名を日本語で表示すればよいだけだ。
必要なブラウザ、メールアプリケーションをインストール
Linux Mintには、デフォルトでFire Foxがインストールされている。
しかし、「Chromeのほうが慣れている」という人もいるだろう。
その場合はメニュー–>ソフトウェアマネージャを選び、インターネットの項目の中からChromium-browserを選ぶ。Linux向けのオープンソースのChrome版だ。使用方法は通常のGoogle Chromeと全く変わらない。
メールソフトはThunderbirdがデフォルトでインストールされている。それ以外にも様々なメールソフトがソフトウェアマネージャからインストールできるので、お気に入りのものを探せばよい。
スクリーンロックの解除
Linux Mintでは、ある程度時間が経過すると、初期設定で画面がロックしてしまい、使用するたびにロックを解除しなければならない。それは面倒なので、予めスクリーンロックの設定を解除しておこう。
メニュー–>コントロールセンター–>スクリーンセーバーを選んで、「スクリーンセーバーを起動したら画面をロックする」のチェックを外しておけばよい。
あとは、ソフトウェアマネージャから好みのアプリケーションをインストールしておけば、Linuxライフを始めることが出来る。
端末は出来るだけ使用しない、しかし何たるかは知っておこう
Linuxは全てが自己責任だ。
必要なものを自分で選んでインストールし、必要に応じてカスタマイズする。
やり方がわからない場合は、ネットで検索してその方法を自分で選択して実行する。
検索結果によっては、グラフィカルな画面での操作が見つからず、全て端末またはターミナル(コンソールともいう)という、Windowsでいうところのコマンドモードで操作することに出くわす。
今後、Linuxを使っていくにつれて、どうしてもこの端末を使用しなければならないことが出てくるだろう。なので、ざっくりとこの端末について書いておこう。
メニュー–>システムツール–>端末を選ぶと、何やら真黒な画面のアプリケーションが起動する。
最初にログイン名とその後にパソコンの名前が表示され、その後は「~」と「$」マークが表示される。これが、いわゆるコマンドライン操作画面だ(以下画像参照)。
ちなみに、カーソルが点滅しているところで「sudo apt-get update」と打ってEnterキーを押してみよう。
これは上述のアップデートマネージャを開いて「更新」をクリックしたことと同じ操作のコマンドだ。
すると「[sudo] ログイン名のパスワード」と表示され、ログインパスワードを入力するよう指示が出る。
パスワードを入力しても、このコマンド画面には表示されないので、あわてないように。
パスワードを打った後Enter、これでアップデートマネージャの更新が始まる。
なにやら、ばらばらと英文が表示された後、再びログイン名とパソコン名が表示されたら更新の終了だ。
続いて「sudo apt-get upgrade」と打ってEnterを押す。
2度目の「sudo(管理者=スーパーユーザーで操作することの最初のおまじないらしい)」の際は、パスワード入力は要求されない。
「sudo apt-get upgrade」は更新した状態で、最新のファイルをダウンロード&インストールする操作だ。
毎朝呪文のようなこの2つのコマンド、「sudo apt-get update」「sudo apt-get upgrade」をやっておけば安心、みたいな気持ちになるので、端末に慣れるためにもこれだけはやっておこう。
それ以外のコマンドはおいおい慣れていけばよい。
またネットで「Linux 端末 コマンド一覧」と検索すれば、ご丁寧にいろいろ書いてくれているブログがたくさんある。
まとめ
Windowsのことは忘れ、少しずつLinuxに慣れていくことが大事だ。
有償でWindows10にアップグレードするか、新しいパソコンを購入するか、あるいは今のうちにLinuxに慣れていき、Windowsなんて自分には不要だ、といえるようになるかどうかは、自分次第だろう。
【ざっくりLinux!のおすすめ本】
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